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2006年3月18日 (土)

竹内浩三「涙も出ずに」

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浩三さんの詩は情景が豊かなものが多い。これも情景が目に浮かぶ詩です。(1:18)

「涙も出ずに」  竹内浩三

踏切のシグナルが 一月の雨にぬれて
ぼくは 上りの終列車を見て
柄もりの水が手につめたく
かなしいような気になって
泣きたいような気になって
わびしいような気になって
それでも 溜息も涙も出ず
ちょうど 風船玉がかなしんだみたい

自分が世界で一番不実な男のような気がし
自分が世界で一番いくじなしのような気がし
それに それがすこしも恥しいと思えず
とほうにくれて雨足を見たら
いくぶんセンチメンタルになって
涙でも出るだろう
そしたらすこしはたのしいだろうが
その涙すら出ず
こまりました
こまりました

Kozo Takeuchi "Namida mo dezuni"



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