夏目漱石「こころ」第038回(中 二)

「中 両親と私 二」
私(わたくし)は母を蔭(かげ)へ呼んで父の病状を尋ねた。
「お父さんはあんなに元気そうに庭へ出たり何かしているが、あれでいいんですか」
「もう何ともないようだよ。大方(おおかた)好くおなりなんだろう」
母は案外平気であった。都会から懸(か)け隔たった森や田の中に住んでいる女の常として、母はこういう事に掛けてはまるで無知識であった。それにしてもこの前父が卒倒した時には、あれほど驚いて、あんなに心配したものを、と私は心のうちで独り異(い)な感じを抱(いだ)いた…。 夏目漱石の「こころ」連続読み第38回。上中下の「中 両親と私」の章の第2回である。
(5:36) Soseki Natsume "KOKORO"#38

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こころ 著者:夏目 漱石 |
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