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2006年5月15日 (月)

竹内浩三「骨のうたう(オリジナル)」

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1942.8.3、入隊二ヶ月前に浩三が書いた詩。21才であった。骨のうたうは、一般に知られているものは、補作されたものである。彼の親友が手を加えた版が世に広まった。そして、こちらが、竹内浩三が伊勢文学という自分達で編纂発表した冊子に掲載したオリジナルである。より、骨として帰ってきた事がよくわかる。最初に僕がこの詩にふれた時は、「ひょうんと人死ぬ」その表現に心をつかまれた。なので、白い箱にて故国を眺める・・・あたりからは、そんなに印象に残っていなかった。今回、あらためてオリジナル版を読んで残ったのは、「骨」となって戻って来る方の描写である。最後、「骨はなんにもなしになった」で終わる。イタイ。そして、この詩を浩三は、入隊前に書いている事を知り、がさらに驚かされるのである。
(2:46)

戦死やあはれ
兵隊の死ぬるやあはれ
とほい他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や

苔いぢらしや あはれや兵隊の死ぬるや
こらへきれないさびしさや
なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なにもない 骨
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらひ
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨は骨 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
それはなかった
がらがらどんどん事務と常識が流れていた
骨は骨として崇められた
骨は チンチン音を立てて粉になった

ああ 戦死やあはれ
故国の風は 骨を吹きとばした
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
なんにもないところで
骨は なんにもなしになった

(『伊勢文学』第八号)

竹内浩三紹介サイト(伊勢の森さん作成)」で詩が読めます。




戦死やあわれ

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著者:竹内 浩三

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