夏目漱石「こころ」第059回(下五)

「下 先生と遺書 五」
私が夏休みを利用して始めて国へ帰った時、両親の死に断えた私の住居(すまい)には、新しい主人として、叔父夫婦が入れ代って住んでいました。これは私が東京へ出る前からの約束でした。たった一人取り残された私が家にいない以上、そうでもするより外(ほか)に仕方がなかったのです。
叔父はその頃(ころ)市にある色々な会社に関係していたようです。業務の都合からいえば、今までの居宅(きょたく)に寝起(ねお)きする方が、二里(り)も隔(へだた)った私の家に移るより遥かに便利だといって笑いました…。
夏目漱石の「こころ」連続読み第59回。上中下の「下 先生と遺書」の章#5(全110回)
(5:41) Soseki Natsume "KOKORO"#59
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こころ 著者:夏目 漱石 |
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