夏目漱石「こころ」第060回(下六)

「下 先生と遺書 六」
私は縁談の事をそれなり忘れてしまいました。私の周囲(ぐるり)を取り捲(ま)いている青年の顔を見ると、世帯染(しょたいじ)みたものは一人もいません。みんな自由です、そうして悉(ことごと)く単独らしく思われたのです。こういう気楽な人の中(うち)にも、裏面にはいり込んだら、あるいは家庭の事情に余儀なくされて、すでに妻を迎えていたものがあったかも知れませんが、子供らしい私はそこに気が付きませんでした…。
夏目漱石の「こころ」連続読み第60回。上中下の「下 先生と遺書」の章#6(全110回)
(5:55) Soseki Natsume "KOKORO"#60
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こころ 著者:夏目 漱石 |
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