夏目漱石「こころ」第063回(下九)

「下 先生と遺書 九」
一口(ひとくち)でいうと、叔父は私(わたくし)の財産を胡魔化(ごまか)したのです。事は私が東京へ出ている三年の間に容易(たやす)く行われたのです。すべてを叔父任(まか)せにして平気でいた私は、世間的にいえば本当の馬鹿でした。世間的以上の見地から評すれば、あるいは純なる尊(たっと)い男とでもいえましょうか。私はその時の己(おの)れを顧みて、なぜもっと人が悪く生れて来なかったかと思うと、正直過ぎた自分が口惜(くや)しくって堪(たま)りません…。
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夏目漱石の「こころ」連続読み第63回。上中下の「下 先生と遺書」の章#9(全110回)
(5:50) Soseki Natsume "KOKORO"#63
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こころ 著者:夏目 漱石 |
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