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2006年10月30日 (月)

夏目漱石「こころ」第066回(下十二)

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「下 先生と遺書 十二」
私の気分は国を立つ時すでに厭世的(えんせいてき)になっていました。他(ひと)は頼りにならないものだという観念が、その時骨の中まで染(し)み込んでしまったように思われたのです。私は私の敵視する叔父(おじ)だの叔母(おば)だの、その他(た)の親戚(しんせき)だのを、あたかも人類の代表者のごとく考え出しました。汽車へ乗ってさえ隣のものの様子を、それとなく注意し始めました。たまに向うから話し掛けられでもすると、なおの事警戒を加えたくなりました。私の心は沈鬱(ちんうつ)でした。鉛を呑(の)んだように重苦しくなる事が時々ありました。それでいて私の神経は、今いったごとくに鋭く尖(とが)ってしまったのです…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第66回。上中下の「下 先生と遺書」の章#12(全110回)

(6:06) Soseki Natsume "KOKORO"#66


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青空文庫
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こころ Book こころ

著者:夏目 漱石
販売元:集英社
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2006年10月27日 (金)

サン=テグジュペリ「あのときの王子くん」22

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「こんにちは。」と王子くんがいうと、
「こんにちは。」とポイントがかりがいった。
「ここでなにしてるの?」と王子くんがいうと、
「おきゃくを一〇〇〇にんずつわけてるんだ。」とポイントがかりがいった。「きかんしゃにおきゃくがのってて、そいつをおまえは右だ、おまえは左だって、やってくんだよ。」
すると、きかんしゃが、ぴかっ、びゅん、かみなりみたいに、ごろごろごろ。ポイントがかりのいるたてものがゆれた…。
(2:46) Antoine de Saint-Exupery, Le Petit Prince #22


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青空文庫
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翻訳を無料で公開して下さっている大久保ゆうさんに敬意を表します。ありがとうございます。
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星の王子さま Book 星の王子さま

著者:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
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2006年10月25日 (水)

夏目漱石「こころ」第065回(下十一)

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「下 先生と遺書 十一」
私は早速(さっそく)その家へ引き移りました。私は最初来た時に未亡人と話をした座敷を借りたのです。そこは宅中(うちじゅう)で一番好(い)い室(へや)でした。本郷辺(ほんごうへん)に高等下宿といった風(ふう)の家がぽつぽつ建てられた時分の事ですから、私は書生として占領し得る最も好い間(ま)の様子を心得ていました。私の新しく主人となった室は、それらよりもずっと立派でした。移った当座は、学生としての私には過ぎるくらいに思われたのです…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第65回。上中下の「下 先生と遺書」の章#11(全110回)

(6:07) Soseki Natsume "KOKORO"#65


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2006年10月23日 (月)

コナン・ドイル「暗号舞踏人の謎」5

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その二人の女は、よく明瞭に話してくれた。その話に因ると、彼の女たちは爆音に目をさまさせられたのであったが、その時この爆音は、ものの一分も間があったろうか、すぐにきえたそうである。彼の女たちは室をとなり合せて、寝ていたのであったがキング女の方がサウンダー女の方に、驚いて飛びこんで行った。そして二人は一緒に階段を下りた。書斎の扉(ドア)は開いていて、テーブルの上には、ローソクがともっていた。そして彼の女たちの主人は、うつ伏せになって室の中央に斃(たお)れて、もう全く息は絶えており、夫人の方は窓近くに這い寄って、壁に頭を寄せかけていたが大変な負傷で、顔の半面は血まみれになっていて、もう何も云うことが出来ず、ただ呻吟(うめい)ていたそうである…。
女料理人キング役…平田絵里子さん


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シャーロック・ホームズの帰還より「暗号舞踏人の謎」三上於菟吉訳。


(14:33) The Doyle, Arthur Conan"The Dancing Man"#5


★祝★CD発売!「シャーロック・ホームズ 赤毛連盟」朗読:佐々木健

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定価1,050円(税込)

青空文庫
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シャーロック・ホームズの帰還

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シャーロック・ホームズの帰還

著者:延原 謙,コナン・ドイル

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2006年10月19日 (木)

サン=テグジュペリ「あのときの王子くん」21

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キツネが出てきたのは、そのときだった。
「こんにちは。」とキツネがいった。
「こんにちは。」と王子くんはていねいにへんじをして、ふりかえったけど、なんにもいなかった。
「ここだよ。」と、こえがきこえる。「リンゴの木の下……」
「きみ、だれ?」と王子くんはいった。「とってもかわいいね……」
「おいら、キツネ。」とキツネはこたえた。
「こっちにきて、いっしょにあそぼうよ。」と王子くんがさそった。「ぼく、ひどくせつないんだ……」
「いっしょにはあそべない。」とキツネはいった。「おいら、きみになつけられてないもん…。
(14:20) Antoine de Saint-Exupery, Le Petit Prince #21


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2006年10月17日 (火)

STBNEWS10/17

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朗読CD発売!アマゾンにて発売中〜!「シャーロック・ホームズ 赤毛連盟」
ポッドキャステシングを始めて10ヶ月が経ちました。早いものです。先日、配信数を数えたら218本!そこで!朗読界のイ○ローを目指そう!と自分の中でスローガンを作りました。なかなか朗読を推し量る尺度がないですので、日本一朗読を配信する男!最多安打ならぬ最多朗読数を目指そうかなと。笑。

今後もがんばって行きますのでよろしくお願いします。CD買ってくださ〜い。

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(6:12) Takeshi Sasaki "STBNEWS061017"


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朗読CD シャーロック・ホームズ「赤毛連盟」

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朗読CD シャーロック・ホームズ「赤毛連盟」

アーティスト:朗読:佐々木健/翻訳:大久保ゆう/原作:コナン・ドイル

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発売日:2006/09/28

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2006年10月16日 (月)

夏目漱石「こころ」第064回(下十)

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「下 先生と遺書 十」
金に不自由のない私(わたくし)は、騒々(そうぞう)しい下宿を出て、新しく一戸を構えてみようかという気になったのです。しかしそれには世帯道具を買う面倒もありますし、世話をしてくれる婆(ばあ)さんの必要も起りますし、その婆さんがまた正直でなければ困るし、宅(うち)を留守にしても大丈夫なものでなければ心配だし、といった訳で、ちょくらちょいと実行する事は覚束(おぼつか)なく見えたのです。ある日私はまあ宅(うち)だけでも探してみようかというそぞろ心(ごころ)から、散歩がてらに本郷台(ほんごうだい)を西へ下りて小石川(こいしかわ)の坂を真直(まっすぐ)に伝通院(でんずういん)の方へ上がりました…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第64回。上中下の「下 先生と遺書」の章#10(全110回)

(5:32) Soseki Natsume "KOKORO"#64


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2006年10月13日 (金)

夏目漱石「こころ」第063回(下九)

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「下 先生と遺書 九」
一口(ひとくち)でいうと、叔父は私(わたくし)の財産を胡魔化(ごまか)したのです。事は私が東京へ出ている三年の間に容易(たやす)く行われたのです。すべてを叔父任(まか)せにして平気でいた私は、世間的にいえば本当の馬鹿でした。世間的以上の見地から評すれば、あるいは純なる尊(たっと)い男とでもいえましょうか。私はその時の己(おの)れを顧みて、なぜもっと人が悪く生れて来なかったかと思うと、正直過ぎた自分が口惜(くや)しくって堪(たま)りません…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第63回。上中下の「下 先生と遺書」の章#9(全110回)

(5:50) Soseki Natsume "KOKORO"#63


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2006年10月11日 (水)

コナン・ドイル「暗号舞踏人の謎」4

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二時間ばかりの間、——彼は何枚も何枚も、数字と文字を書いては、その仕事に没頭した。全く私がその室(へや)にいるのさえも忘れて、一生懸命に続けた。ある時は多少に仕事が進むもののように、口笛を吹いたり歌ったりし、またやがては、全くその長い謎に閉口してしまったように、額をすくめ目を茫然とさせていた。それから遂に彼は思わずも歓喜の声を上げながら起ち上って、盛んに手をもじもじさせながら室(へや)の中をぶらぶらと歩き出した…。


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シャーロック・ホームズの帰還より「暗号舞踏人の謎」三上於菟吉訳。


(12:44) The Doyle, Arthur Conan"The Dancing Man"#4


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シャーロック・ホームズの帰還

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2006年10月10日 (火)

朗読ラインナップ!

Lineup_bnn

今迄配信した、朗読の一覧がご覧になれます。

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2006年10月 9日 (月)

サン=テグジュペリ「あのときの王子くん」20

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さて、王子くんが、さばくを、岩山を、雪の上をこえて、ながながとあゆんでいくと、ようやく一本の道に行きついた。そして道をゆけば、すんなりひとのいるところへたどりつく。
「こんにちは。」と、その子はいった。
 そこは、バラの花がさきそろう庭《にわ》だった。
「こんにちは。」と、バラがいっせいにこたえた。
 王子くんは、たくさんのバラをながめた。みんな、その子の花にそっくりだった…。
(2:55) Antoine de Saint-Exupery, Le Petit Prince #20


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2006年10月 6日 (金)

夏目漱石「こころ」第062回(下八)

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「下 先生と遺書 八」
私は今まで叔父任(まか)せにしておいた家の財産について、詳しい知識を得なければ、死んだ父母(ちちはは)に対して済まないという気を起したのです。叔父は忙しい身体(からだ)だと自称するごとく、毎晩同じ所に寝泊(ねとま)りはしていませんでした。二日家(うち)へ帰ると三日は市(し)の方で暮らすといった風(ふう)に、両方の間を往来(ゆきき)して、その日その日を落ち付きのない顔で過ごしていました。そうして忙しいという言葉を口癖(くちくせ)のように使いました。何の疑いも起らない時は、私も実際に忙しいのだろうと思っていたのです。それから、忙しがらなくては当世流でないのだろうと、皮肉にも解釈していたのです。けれども財産の事について、時間の掛(か)かる話をしようという目的ができた眼で、この忙しがる様子を見ると、それが単に私を避ける口実としか受け取れなくなって来たのです…。

夏目漱石の「こころ」連続読み第62回。上中下の「下 先生と遺書」の章#8(全110回)

(5:25) Soseki Natsume "KOKORO"#62


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2006年10月 4日 (水)

サン=テグジュペリ「あのときの王子くん」19

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王子くんは、たかい山にのぼった。それまでその子の知っていた山といえば、たけがひざまでしかない火山がみっつだけ。しかも、きえた火山はこしかけにつかっていたくらいだ。だから、その子はこんなふうにかんがえた。『こんなにたかい山からなら、ひと目で、この星ぜんたいと、ひとみんなを見わたせるはず……』でも、見えたのは、するどくとがった岩山ばかりだった。
「こんにちは。」と、その子があてずっぽうにいうと、
「こんにちは……こんにちは……こんにちは……」と…
(2:06) Antoine de Saint-Exupery, Le Petit Prince #19

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2006年10月 2日 (月)

夏目漱石「こころ」第061回(下七)

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「下 先生と遺書 七」
私が三度目に帰国したのは、それからまた一年経(た)った夏の取付(とっつき)でした。私はいつでも学年試験の済むのを待ちかねて東京を逃げました。私には故郷(ふるさと)がそれほど懐かしかったからです。あなたにも覚えがあるでしょう、生れた所は空気の色が違います、土地の匂(にお)いも格別です、父や母の記憶も濃(こまや)かに漂(ただよ)っています。一年のうちで、七、八の二月(ふたつき)をその中に包(くる)まれて、穴に入った蛇(へび)のように凝(じっ)としているのは、私に取って何よりも温かい好(い)い心持だったのです。
 単純な私は従妹との結婚問題について、さほど頭を痛める必要がないと思っていました…。

夏目漱石の「こころ」連続読み第61回。上中下の「下 先生と遺書」の章#7(全110回)

(5:27) Soseki Natsume "KOKORO"#61


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