夏目漱石「こころ」第080回(下二十六)

「下 先生と遺書 二十六」
Kと私(わたくし)は同じ科におりながら、専攻の学問が違っていましたから、自然出る時や帰る時に遅速がありました。私の方が早ければ、ただ彼の空室(くうしつ)を通り抜けるだけですが、遅いと簡単な挨拶(あいさつ)をして自分の部屋へはいるのを例にしていました。Kはいつもの眼を書物からはなして、襖(ふすま)を開ける私をちょっと見ます。そうしてきっと今帰ったのかといいます。私は何も答えないで点頭(うなず)く事もありますし、あるいはただ「うん」と答えて行き過ぎる場合もあります…。
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夏目漱石の「こころ」連続読み第79回。上中下の「下 先生と遺書」の章#26(全110回)
(5:50) Soseki Natsume "KOKORO"#80
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こころ 著者:夏目 漱石 |
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