2006年4月14日 (金)

宮沢賢治の詩「この森を通りぬければ」

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※この作品は、オーディオブックとして発売になりましたので、ダウンロードはできません。

この森を通りぬければ

みちはさっきの水車へもどる

鳥がぎらぎら啼いている

たしか渡りのつぐみの群れだ

夜どおし銀河の南のはじが

白く光って爆発したり

蛍があんまり流れたり

おまけに風がひっきりなしに樹をゆするので

鳥は落ちついて睡られず

あんなにひどくさわぐのだろう

けれども

わたくしが一あし林のなかにはいったばかりで

こんなにはげしく

こんなに一そうはげしく

まるでにわか雨のようになくのは

何というおかしなやつらだらう

ここは大きなひばの林で

そのまっ黒ないちいちの枝から

あちこち空のきれぎれが

いろいろにふるえたり呼吸したり

云わばあらゆる年代の

光の目録を送ってくる

……鳥があんまりさわぐので

私はぼんやり立っている……

みちはほのじろく向うへながれ

一つの木立の窪みから

赤く濁った火星がのぼり

鳥は二羽だけいつかこっそりやってきて

何か冴え冴え軋って行った

ああ風が吹いてあたたかさや銀の分子

あらゆる四面体の感触を送り

蛍が一そう乱れて飛べば

鳥は雨よりしげくなき

わたくしは死んだ妹の声を

林のはてのはてからきく

……それはもうそうでなくても

誰でもおなじことなのだから

またあたらしく考え直すこともない……

草のいきれとひのきのにおい

鳥はまた一そうひどくさわぎだす

どうしてそんなにさわぐのか

田に水を引く人たちが

抜き足をして林のへりをあるいても

南のそらで星がたびたび流れても

べつにあぶないことはない

しずかに睡ってかまわないのだ



24.7.5

『春と修羅』第二集より


Kenji Miyazawa "Kono Mori Wo Toori Nukereba"





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2006年3月16日 (木)

宮沢賢治「注文の多い料理店」序

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童話集としての「注文の多い料理店」の「序」である。…わたくしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。…
(2:41)


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2006年3月11日 (土)

宮沢賢治「永訣の朝」

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妹とし子との別れの詩。あめゆじゅとてちてけんじゃ・・・妹が最後に賢治に欲したのは、真っ白な雨雪だった。死ぬといういまごろになって、わたくしを一生明るくする為にこんなさっぱりした雪の一椀をおまえはわたくしに頼んだのだ・・・。悲しい詩である。
(4:18)

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2006年3月 9日 (木)

宮沢賢治「春と修羅」序

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※この作品は、オーディオブックとして発売になりましたので、ダウンロードはできません。 詩集「春と修羅」の序を読む。
わたくしといふ現象は假定された有機交流電燈のひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょにせはしくせはしく明滅しながらいかにもたしかにともりつづける因果交流電燈のひとつの青い照明です…
(3:55)

青空文庫
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桑島法子のイーハトーヴ朗読紀行 ~宮澤賢治「銀河鉄道の夜」「春と修羅」 DVD 桑島法子のイーハトーヴ朗読紀行 ~宮澤賢治「銀河鉄道の夜」「春と修羅」

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2006年2月23日 (木)

宮沢賢治「雨ニモマケズ」

Download (05:11)
2パターン読んでいます。オーソドックスなタイプと、僕が受け取ったこの詩のイメージでと。 「イワンの馬鹿」という作品を読んでいるが、賢治は、トルストイのこの作品のイワンという人物に共感していた らしい。それを現す言葉がデクノボーであると何かで読んだ。なので僕の中でのデクノボーは褒め言葉である。 今回は、BGMも入れて見た。なしでもよかったのだが、2つ目は少し暗すぎたので、あえて音楽で補完した。


雨ニモマケズ

宮沢賢治


雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシズカニワラッテイル
一日ニ玄米四合ト
味噲ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニイテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負イ
南ニ死ニソウナ人アレバ
行ッテコワガラナクテモイイトイイ
北ニケンカヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイイ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ

Kenji Miyazawa "Ame Nimo Makezu"
雨にもまけず

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