2007年2月21日 (水)

夏目漱石「こころ」第083回(下二十九)

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「下 先生と遺書 二十九」
私は思い切って自分の心をKに打ち明けようとしました。もっともこれはその時に始まった訳でもなかったのです。旅に出ない前から、私にはそうした腹ができていたのですけれども、打ち明ける機会をつらまえる事も、その機会を作り出す事も、私の手際(てぎわ)では旨(うま)くゆかなかったのです。今から思うと、その頃私の周囲にいた人間はみんな妙でした。女に関して立ち入った話などをするものは一人もありませんでした…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第83回。上中下の「下 先生と遺書」の章#29(全110回)

(5:32) Soseki Natsume "KOKORO"#83


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2007年2月19日 (月)

夏目漱石「こころ」第082回(下二十八)

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「下 先生と遺書 二十八」
Kはあまり旅へ出ない男でした。私(わたくし)にも房州(ぼうしゅう)は始めてでした。二人は何にも知らないで、船が一番先へ着いた所から上陸したのです。たしか保田(ほた)とかいいました。今ではどんなに変っているか知りませんが、その頃(ころ)はひどい漁村でした。第一(だいち)どこもかしこも腥(なまぐさ)いのです。それから海へ入ると、波に押し倒されて、すぐ手だの足だのを擦(す)り剥(む)くのです。拳(こぶし)のような大きな石が打ち寄せる波に揉(も)まれて、始終ごろごろしているのです…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第82回。上中下の「下 先生と遺書」の章#28(全110回)

(5:41) Soseki Natsume "KOKORO"#82


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2007年2月14日 (水)

夏目漱石「こころ」第081回(下二十七)

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「下 先生と遺書 二十七」
一週間ばかりして私(わたくし)はまたKとお嬢さんがいっしょに話している室(へや)を通り抜けました。その時お嬢さんは私の顔を見るや否(いな)や笑い出しました。私はすぐ何がおかしいのかと聞けばよかったのでしょう。それをつい黙って自分の居間まで来てしまったのです。だからKもいつものように、今帰ったかと声を掛ける事ができなくなりました。お嬢さんはすぐ障子(しょうじ)を開けて茶の間へ入ったようでした…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第81回。上中下の「下 先生と遺書」の章#27(全110回)

(5:37) Soseki Natsume "KOKORO"#81


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2007年2月13日 (火)

夏目漱石「こころ」第080回(下二十六)

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「下 先生と遺書 二十六」
Kと私(わたくし)は同じ科におりながら、専攻の学問が違っていましたから、自然出る時や帰る時に遅速がありました。私の方が早ければ、ただ彼の空室(くうしつ)を通り抜けるだけですが、遅いと簡単な挨拶(あいさつ)をして自分の部屋へはいるのを例にしていました。Kはいつもの眼を書物からはなして、襖(ふすま)を開ける私をちょっと見ます。そうしてきっと今帰ったのかといいます。私は何も答えないで点頭(うなず)く事もありますし、あるいはただ「うん」と答えて行き過ぎる場合もあります…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第79回。上中下の「下 先生と遺書」の章#26(全110回)

(5:50) Soseki Natsume "KOKORO"#80


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2007年2月 5日 (月)

夏目漱石「こころ」第079回(下二十五)

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「下 先生と遺書 二十五」
私は蔭(かげ)へ廻(まわ)って、奥さんとお嬢さんに、なるべくKと話をするように頼みました。私は彼のこれまで通って来た無言生活が彼に祟(たた)っているのだろうと信じたからです。使わない鉄が腐るように、彼の心には錆(さび)が出ていたとしか、私には思われなかったのです…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第79回。上中下の「下 先生と遺書」の章#25(全110回)

(5:30) Soseki Natsume "KOKORO"#78


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2007年1月29日 (月)

夏目漱石「こころ」第078回(下二十四)

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「下 先生と遺書 二十四」
私は奥さんからそういう風(ふう)に取り扱われた結果、段々快活になって来たのです。それを自覚していたから、同じものを今度はKの上に応用しようと試みたのです。Kと私とが性格の上において、大分(だいぶ)相違のある事は、長く交際(つきあ)って来た私によく解(わか)っていましたけれども、私の神経がこの家庭に入ってから多少角(かど)が取れたごとく、Kの心もここに置けばいつか沈まる事があるだろうと考えたので…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第78回。上中下の「下 先生と遺書」の章#24(全110回)

(5:39) Soseki Natsume "KOKORO"#78


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2007年1月22日 (月)

夏目漱石「こころ」第077回(下二十三)

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「下 先生と遺書 二十三」
私の座敷には控えの間(ま)というような四畳が付属していました。玄関を上がって私のいる所へ通ろうとするには、ぜひこの四畳を横切らなければならないのだから、実用の点から見ると、至極(しごく)不便な室(へや)でした。私はここへKを入れたのです。もっとも最初は同じ八畳に二つ机を並べて、次の間を共有にして置く考えだったのですが、Kは狭苦しくっても一人でいる方が好(い)いといって、自分でそっちのほうを択(えら)んだのです…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第77回。上中下の「下 先生と遺書」の章#23(全110回)

(5:27) Soseki Natsume "KOKORO"#77


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2007年1月19日 (金)

夏目漱石「こころ」第076回(下二十二)

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「下 先生と遺書 二十二」
Kの事件が一段落ついた後(あと)で、私(わたくし)は彼の姉の夫から長い封書を受け取りました。Kの養子に行った先は、この人の親類に当るのですから、彼を周旋した時にも、彼を復籍させた時にも、この人の意見が重きをなしていたのだと、Kは私に話して聞かせました。
 手紙にはその後Kがどうしているか知らせてくれと書いてありました。姉が心配しているから、なるべく早く返事を貰(もら)いたいという依頼も付け加えてありました…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第76回。上中下の「下 先生と遺書」の章#22(全110回)

(5:55) Soseki Natsume "KOKORO"#76


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2007年1月17日 (水)

夏目漱石「こころ」第075回(下二十一)

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「下 先生と遺書 二十一」
Kの手紙を見た養父は大変怒りました。親を騙(だま)すような不埒(ふらち)なものに学資を送る事はできないという厳しい返事をすぐ寄こしたのです。Kはそれを私(わたくし)に見せました。Kはまたそれと前後して実家から受け取った書翰(しょかん)も見せました…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第75回。上中下の「下 先生と遺書」の章#21(全110回)

(5:55) Soseki Natsume "KOKORO"#75


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2007年1月10日 (水)

夏目漱石「こころ」第074回(下二十)

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「下 先生と遺書 二十」
Kと私(わたくし)は同じ科へ入学しました。Kは澄ました顔をして、養家から送ってくれる金で、自分の好きな道を歩き出したのです。知れはしないという安心と、知れたって構うものかという度胸とが、二つながらKの心にあったものと見るよりほか仕方がありません。Kは私よりも平気でした…。


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夏目漱石の「こころ」連続読み第74回。上中下の「下 先生と遺書」の章#20(全110回)

(5:52) Soseki Natsume "KOKORO"#74


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